■ はじめに(薬の個人輸入が必要だった)
「薬をネットで買うなんて、絶対やめた方がいい。」
数年前、体調を崩していた私に、友人はそう言った。
でも、その言葉を聞いた夜──私は布団の中でスマホを握りながら「薬 個人輸入」と検索していた。
どんなに疲れても、病院に行く時間がない。
仕事を休むこともできない。
そんな生活を続けていた頃、個人輸入という言葉が目に入った。
最初は怖かった。
海外サイトで薬を買うなんて、正気の沙汰じゃない。
けれど、あの夜の私は、「怖さ」よりも「もう限界」という気持ちが勝っていた。
■ 実際に使ってみて分かった、信頼できるサイトランキング
半年かけて6つのサイトを実際に使った。
届いた箱の手触り、発送メールの内容、問い合わせの対応、全部違った。
表面上のレビューでは分からない“温度差”が確かにあった。
その経験を踏まえて、今でも人に勧められる順番を正直に書く。
順位 | サイト名 | 総評 |
---|---|---|
🥇1位 | くすりエクスプレス | 不安を消してくれた。発送・梱包・対応すべて誠実。 |
🥈2位 | ベストケンコー | 老舗の安心感。トラブル時の対応が人間的。 |
🥉3位 | ユニドラ | コスパ最強。だが、サポートは機械的で淡白。 |
4位 | ぺっと薬 | ペット薬中心だが、丁寧で温かい。 |
5位 | オオサカ堂 | 歴史は長いが、配送にムラあり。 |
6位 | おくすりナビ | 初心者向け。サイトは綺麗だが品数は少なめ。 |
■ 第1位:くすりエクスプレス ― 不安を信頼に変えてくれた夜
― 夜中2時、最初の「注文ボタン」を押した
はじまりは、2022年の冬だった。
会社で深夜まで残業をして帰った夜、布団に入っても眠れなかった。
頭の中では、上司の声や締切のメールがリピートしていた。
翌朝、目の下のクマを鏡で見て、思った。
「もう、病院行く時間すらない。」
それから数日後、同僚に「個人輸入なら買えるよ」と言われた。
その言葉がずっと頭に残っていた。
仕事を終えた夜中2時、眠れないままスマホを開き、
“睡眠薬 個人輸入”と打ち込んだ。
出てきたサイトの中で、唯一「変な広告がない」「日本語が自然」だったのが、くすりエクスプレスだった。
白地に青のシンプルなデザイン。
レビュー数も多く、どれも“届いた”“対応が丁寧”というものばかり。
でも、本当に届くのか?
詐欺じゃないのか?
心臓がドクドク鳴っていた。
マウスを握る手が汗ばむ。
それでも、気づけば“注文する”ボタンをクリックしていた。
あのクリックの音は、今でも耳に残っている。
― 10日後、ポストの中の白い封筒
発送完了メールが届いたのは、注文の2日後。
英語と日本語が混ざった短い文面だった。
“Your parcel has been shipped.”
妙に現実味があった。
その後、1週間が過ぎても届かない。
不安になって追跡番号を何度も確認した。
「シンガポール→成田」の文字を見つけた時、心臓が少し跳ねた。
そして、10日目の朝。
ポストを開けた瞬間、白い封筒が入っていた。
差出人は見慣れない外国の住所。
封筒の端が少しへこんでいて、指で触れると固い箱の感触があった。
そのまま部屋に戻り、机の上で静かに開封した。
中には、メーカーのロゴ入りの箱。
シールを剥がすと、独特の薬の匂いが広がった。
「……本当に届いたんだ。」
思わず声が漏れた。
緊張で乾いた喉に、薬のパッケージが妙に光って見えた。
― 最初の1錠
その夜、届いた薬を1錠だけ飲んだ。
水を口に含んだ瞬間、指先が震えていた。
30分ほどして、視界がやわらかく滲み始めた。
心の奥の方が、ゆっくりと静まっていく感覚。
気づけば、朝だった。
カーテンの隙間から差す光がまぶしかった。
頭が重くない。
久しぶりに“ちゃんと眠れた”と思った。
あの朝の静けさは、今でも覚えている。
― その後のサポート対応
服用後に念のため質問メールを送った。
「次回も同じものを注文して問題ありませんか?」
数時間後に届いた返信は、機械的な定型文ではなく、
“体調を見ながら無理せず続けてくださいね”という優しい言葉だった。
海外の通販サイトから、こんな日本語のメールが届くとは思わなかった。
その瞬間、「ここは違う」と感じた。
■ 総評:くすりエクスプレスの強さ
- 発送スピード: 約10日で到着(安定)
- 梱包: 無地で中身が分からない、丁寧
- 対応: 日本語のメールが温かい
- 信頼度: ★★★★★(初回で心を掴まれた)
「薬をネットで買うなんて、絶対やめた方がいい。」
あのときの友人の言葉を、いまなら少し違う形で返せる気がする。
「ちゃんと選べば、怖い世界じゃない」と。
次章では、第2位「ベストケンコー」で実際に体験した“トラブルからの神対応”を物語形式でお伝えします。
第2位:ベストケンコー ― トラブルがあったからこそ、信頼できた
― 初回の安心、二回目の不安
くすりエクスプレスでの初注文が成功してから、しばらくして再び個人輸入を利用したくなった。
前回の体験で少し自信を得ていた私は、別のサイトにも挑戦してみようと思った。
そうして選んだのが、ベストケンコーだった。
理由は単純だ。
“老舗”“10年以上の運営実績”“レビュー数が圧倒的”。
どこを見ても安定している印象だった。
何より、サイトのトップにあった「安心・安全の正規品保証」という文字が、当時の私には心強く見えた。
商品をカートに入れ、クレジット決済を済ませた。
これで大丈夫──そう思っていた。
だが、その夜、違和感を覚えた。
「注文確認メールが届かない。」
― 不安の夜と、深夜の問い合わせ
スマホの受信トレイを何度も更新しても、メールは来ない。
以前のくすりエクスプレスでは数分で届いたから、余計に不安になった。
“まさか詐欺?”
“間違えて変なサイトに注文したのか?”
頭の中で最悪の想像が駆け巡る。
深夜2時。冷たい光のスマホ画面を見つめながら、ベストケンコーの問い合わせフォームにメッセージを打ち込んだ。
「注文確認メールが届きません。念のため、注文状況を確認いただけますか。」
送信ボタンを押したあとも眠れなかった。
夜が明けるまで、何度もメールアプリを開いては閉じた。
― 翌朝の返信
朝9時すぎ、仕事中にスマホが震えた。
そこには1通のメール。
「このたびはご心配をおかけし申し訳ございません。
ご注文は確かに承っております。
サーバー障害により自動メールが一部遅延しておりました。」
その一文を読んだ瞬間、胸の中の緊張がふっとほどけた。
さらに驚いたのは、そのメールの最後に書かれていた一文だった。
「次回のご注文時にお使いいただける10%オフクーポンをお送りいたします。」
単なる“対応メール”ではなく、気遣いを感じる返信だった。
あの短いやりとりで、このサイトの印象が一気に変わった。
― 届いた封筒に残っていた“人の手の跡”
商品が届いたのは注文から約11日後。
白いビニール封筒の角には、手で押したような跡が残っていた。
宛名シールの横には、ペンで書かれたような小さなサイン。
「検品済」
手書きのその二文字を見たとき、少しだけ嬉しくなった。
流れ作業の通販ではない。
誰かの手で確かに扱われたのだと思うと、妙な安心感があった。
― 商品の中身と違和感
ただ、今回は少し気になる点もあった。
パッケージの一部に擦れた跡があったのだ。
配送中のものだと思うが、前回のくすりエクスプレスよりも丁寧さに欠ける印象だった。
それでも中身は問題なし。
製造番号・使用期限ともに明確に印字されている。
封を開けると薬の独特な匂いがして、外国の薬局を思わせた。
― 再びサポートへ
気になったので、試しに問い合わせてみた。
返信は1日後。
「梱包の状態についてご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません。
今後は改善いたします。ご指摘を共有させていただきました。」
最後に“ご体調にお気をつけください”と添えられていた。
テンプレートのようで、どこか温かかった。
あれ以来、私はベストケンコーに対して“人がいる会社”という印象を持っている。
― 実際に使ってみて
薬自体は問題なく使えた。
効果も安定しており、商品説明と齟齬はない。
ただ、配送日数はやや長めで、到着まで落ち着かない時間が続いた。
一方で、価格はくすりエクスプレスよりも若干安い。
レビュー投稿者のコメントも細かく、購入前にかなり参考になる。
こういう“コミュニティ的な雰囲気”は、他サイトにはなかった。
■ ベストケンコーの印象まとめ
項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
価格 | ★★★★★ | 同一商品の中では最安級 |
発送速度 | ★★★☆☆ | やや遅め(10〜13日) |
サポート | ★★★★★ | 人間味があり、返信が丁寧 |
梱包 | ★★★★☆ | 十分だが、少し雑なときも |
信頼度 | ★★★★★ | トラブル対応が優秀 |
― トラブルが教えてくれた“信頼”というもの
通販サイトを本当に信頼できるかどうかは、
トラブルが起きたときにしか分からない。
メールが届かないという小さな出来事だったけれど、
あの時の丁寧な対応で私は「この会社は誠実だ」と感じた。
薬を扱うという重い責任を、画面の向こうでちゃんと意識している──
そんな安心感が、ベストケンコーの最大の強みだと思う。
― そして次へ
この2つの体験で、「安さ」だけではなく「人間の対応」も大切だと知った。
だからこそ、次はあえて“安さで有名なサイト”に挑戦してみた。
それが、次に紹介する第3位──ユニドラ。
価格の魅力に惹かれて手を出したが、そこにはまた別の“現実”が待っていた。
第3位:ユニドラ ― 価格の誘惑と、静かな孤独
― 「安さ」に引き寄せられた夜
くすりエクスプレスとベストケンコーでの体験を経て、
私は「個人輸入なんてもう怖くない」と思い始めていた。
人間は慣れると大胆になる。
最初は慎重だった自分が、
いつの間にか“安ければいい”という考えに傾いていった。
そんなとき、検索結果の上位に現れたのがユニドラだった。
値段を見て、思わず目を疑った。
同じ薬が、他サイトより2〜3割安い。
画面越しに、胸の奥で「これで十分じゃないか」という声が響いた。
レビュー数も多い。
日本語もそこそこ自然。
ただ、どこか“無機質”な印象があった。
それでも、その夜の私は迷わなかった。
クリックする指が早かった。
“コスパ最強”という言葉が、当時の私には甘い誘惑に聞こえた。
― 注文から発送までの「無音」
注文を終えてから、静寂が続いた。
メールは届いた。
だが、短く、機械のような文章だった。
“Thank you for your order. Your package will be shipped soon.”
前回までのような“人の温度”がない。
ただの英文通知。
それでも私は、「まあ安いんだから仕方ない」と自分に言い聞かせた。
3日経っても、発送通知が来ない。
不安になってサイトのマイページを開くと、
「発送準備中」の文字が淡々と並んでいた。
不思議なもので、安く買ったものほど、
人は“損したくない”と強く思う。
数百円の差額よりも、届かないことの方が怖くなる。
そんな心理が自分の中に渦巻いていた。
― やっと届いた“薄い封筒”
注文から13日目。
帰宅した夜、郵便受けに薄いエアメール封筒が挟まっていた。
白ではなく、グレー。
海外からの輸送で角が少し潰れていた。
開封すると、中から小さな銀色のブリスターが出てきた。
説明書も、明細も入っていない。
ただ、銀色のシートに刻まれた刻印だけが頼りだった。
「これ、本当に大丈夫か……?」
光にかざすと、錠剤の形や文字が見える。
Google画像検索で製品名を照合してみた。
どうやら正規のジェネリック品らしい。
けれど、どこか“孤独な買い物”をしたような気分になった。
― 服用してみて
実際に服用してみると、効果は確かにあった。
体に変な違和感もない。
成分は同じなのだろう。
ただ、違ったのは「心の安心感」だった。
前回までは、“届いた”という喜びがあった。
けれど今回は、“これでいいのか”という迷いが残った。
薬の効果が出るまでの30分間、
私はパソコンの画面に映る注文履歴を何度も見返していた。
自分がどこの国から何を買ったのか、
改めて確認したかったのかもしれない。
― サポートに問い合わせてみた
確認のため、問い合わせフォームから質問を送った。
「次回も同じメーカーで届きますか?」
3日後、短い英文メールが返ってきた。
“It depends on our stock availability.”
「在庫によります。」
それだけ。
絵文字も、挨拶文もない。
冷たいメールだった。
たった一行の返信で、
“値段相応”という言葉の意味を理解した気がした。
― それでも、使い続けた理由
不思議なことに、私はユニドラを何度かリピートした。
理由は単純。
安いから。
効果も問題ない。
届くのは遅いが、確実に届く。
人間の欲望とは、結局そういうものだと思う。
「安心」よりも「得」を選びたくなる瞬間がある。
それでも、ユニドラには“くすりエクスプレスやベストケンコーにあった温かさ”はなかった。
届くたびに感じるのは、静かな孤独だった。
まるで、自分だけが世界の片隅で何かを秘密裏に受け取っているような感覚。
その孤独感が、どこかクセになっていくのもまた事実だった。
■ ユニドラの印象まとめ
項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
価格 | ★★★★★ | 圧倒的に安い。特にジェネリック。 |
発送速度 | ★★★☆☆ | 10〜14日。やや遅め。 |
サポート | ★★☆☆☆ | 英語中心。機械的な対応。 |
梱包 | ★★★☆☆ | 簡素。中身が少し透けることも。 |
信頼度 | ★★★☆☆ | “届く”けれど、“人の気配”がない。 |
― 「安さ」に慣れるということ
便利さと引き換えに、
自分の感情がどんどん薄れていくような気がした。
病院では待ち時間がある。
診察があり、医師と会話がある。
そこには人間のやりとりがある。
個人輸入は、そのすべてを省ける。
ボタンひとつで薬が届く。
でも、その手軽さの裏で、
「何かを失っている」感覚が確かにあった。
ユニドラを最後に、
私は再び“人の顔が見えるサイト”を探すようになった。
― 次に向かった先
次に試したのは、ぺっと薬だった。
人間用ではなく、ペット用医薬品が中心のサイト。
一見場違いにも思えたが、そこで私は
久しぶりに「人の温度」を感じることになる。
第4位:ぺっと薬 ― ペット薬サイトで感じた“人間らしさ”と静かな誠実さ
― ふと目に止まった「ぺっと薬」という名前
ユニドラを数回利用したあと、
私はふと、別のサイトの存在を知った。
検索結果の下の方に、小さく「ぺっと薬」と書かれていた。
最初は思わず笑ってしまった。
「ペット用? 自分、人間だぞ」と。
けれど、その名前の素朴さにどこか惹かれた。
他のサイトのような派手さがない。
どこか、手作り感がある。
気になって開いてみた。
トップページには、犬や猫の写真が穏やかに並んでいた。
薬というより、動物病院の待合室のような空気。
説明文の言葉づかいも柔らかく、
「お客様」ではなく「飼い主さま」と書かれている。
なぜだか分からないが、その瞬間、
“ここなら悪い人はいなさそうだ”と思った。
― 人間用の薬も扱っていた
サイトを見ていくうちに、
ペット用だけでなく、一部の人間用医薬品も扱っていることに気づいた。
どうやらペット薬を中心にしつつ、
その延長で一般の個人輸入にも対応しているようだった。
「犬の薬を扱う会社が人間の薬を扱う…」
少し不思議な感覚だったが、
“命を扱う”という点で、むしろ信頼できる気がした。
私は思い切って注文してみることにした。
商品ページの説明文は、
専門的すぎず、どこか生活感のある言葉で書かれていた。
「このお薬は、少し苦みがあるので、食後に服用される方が多いです。」
そんな一文に、他のサイトにはない温かみを感じた。
― 注文後のメールが「人の文章」だった
注文を終えたあと、
すぐに自動返信メールが届いた。
しかし、その文面が他と違った。
「このたびはご注文をありがとうございます。
海外からの発送となりますので、お手元に届くまで10日前後かかります。
ご不安な点がございましたら、どうぞご遠慮なくお知らせください。
小さなご注文でも、誠実に対応いたします。」
“誠実に対応いたします。”
そんな言葉、通販サイトで見たことがなかった。
それだけで少し救われるような気がした。
― 届いた封筒の温度
10日後、白い封筒が届いた。
宛名の横には、細いペンで手書きの「Thank you!」の文字。
インクのかすれ具合から、
誰かが本当にペンを走らせた跡が見えた。
中には商品と一緒に、
A5サイズのメッセージカードが入っていた。
そこにはこんな言葉が印刷されていた。
「お薬が無事に届きますように。
お身体を大切にしてくださいね。」
それを読んだとき、
私は思わず笑ってしまった。
通販で、こんな言葉をもらったのは初めてだった。
― 小さなハプニング
一度だけ、注文した薬の在庫が切れていたことがあった。
メールで連絡が来て、代替品を提案された。
「大変恐縮ですが、現在こちらの商品がメーカー欠品となっております。
同等成分の代替品がございますが、いかがなさいますか?」
代替品? 正直、少し不安だった。
でも、そのメールの最後にこう書かれていた。
「もしご心配でしたら、もちろんキャンセルも承ります。
ご判断はお客様にお任せします。」
その一文を読んで、私は迷わず「代替品で大丈夫です」と返信した。
信頼できる相手に対しては、不思議と不安が消える。
人は、誠実さに敏感なのだと思う。
― 薬の効果よりも記憶に残った「対応」
届いた薬は問題なく使えた。
けれど、それ以上に印象に残ったのは“対応の丁寧さ”だった。
問い合わせに対して、必ず名前入りで返信が来る。
「○○様、いつもありがとうございます。」
それが機械的でないのは、文面の端々に“人の呼吸”があるからだった。
顔は見えないのに、会話をしているような感覚。
薬という冷たい商品を通して、
人の温もりを感じる経験は、そう多くない。
■ ぺっと薬の印象まとめ
項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
価格 | ★★★★☆ | 若干高めだが、誠実さを買う価値あり |
発送速度 | ★★★★☆ | 平均10日程度。安定している |
サポート | ★★★★★ | 丁寧・日本語完璧・名前入り対応 |
梱包 | ★★★★★ | 清潔・手書きメッセージが嬉しい |
信頼度 | ★★★★★ | “人がいる”と感じられる稀有なサイト |
― 「誠実さ」という安心のかたち
薬の個人輸入というと、
どうしても“グレーな印象”がつきまとう。
けれど、ぺっと薬にはそれを感じなかった。
そこにあったのは、
“薬を売る”というより“必要な人に届ける”という姿勢だった。
このサイトを利用したとき、
私は久しぶりに「ありがとう」と心の中でつぶやいた。
通販サイトにそんな気持ちを抱くことは、
めったにない。
― 次のサイトへ
ぺっと薬で得た“温かさ”を味わったあと、
私は再び「歴史あるサイト」に戻ってみようと思った。
それが、次に紹介する第5位──オオサカ堂だった。
長年運営されている老舗。
ネットの個人輸入黎明期から名前を聞くサイト。
だが、その“老舗ゆえの静けさ”の中に、
思わぬギャップがあった。
第5位:オオサカ堂 ― 歴史が語る信頼と、届かない距離感
― 名前は昔から知っていた
「オオサカ堂」という名前は、個人輸入を調べ始めた頃から何度も目にしていた。
掲示板や口コミでも古くから知られていて、ある種“老舗の代名詞”的存在だ。
初めてそのサイトを開いたとき、
どこか懐かしい雰囲気を感じた。
デザインは古い。
今どきの洗練されたUIとは違う。
けれど、その“古さ”が逆に安心感を与えてくれた。
昔ながらの薬局に入るような、
少し埃っぽいけれど信頼できる空気。
そんな印象だった。
― 注文から発送までの静けさ
オオサカ堂では、他のサイトのような“リアルタイムの進捗メール”はほとんど来ない。
注文完了メールが届いたあと、
ただ静かに時間が流れる。
商品が発送されたのかどうかも分からず、
不安と共に1週間、2週間が過ぎていく。
それでも、気づけばある日ポストに届いている。
不思議なほど静かで、淡々としたやり取りだった。
悪く言えば不親切。
良く言えば無駄がない。
― 届いた封筒に感じた“時代”
届いた封筒は、他のどのサイトよりも質素だった。
宛名シールの文字も、どこかタイプライターのような書体で、
一昔前の通販を思い出させた。
中身も問題はない。
薬は正規品だったし、梱包もきちんとしている。
ただ、そこに“今のサービス的な気遣い”はない。
「昔ながらの通販」という言葉がぴったりだった。
こちらが何かを求めなければ、
何も語らず、何も届けない。
そういう距離感。
― サポートとのやり取り
一度だけ問い合わせを送ったことがある。
「到着が遅れているようですが、発送状況を確認できますか?」
返ってきたのは翌々日。
短い一文だけ。
「現在、輸送遅延が発生しております。
もうしばらくお待ちください。」
感情のない文面。
それ以上でも、それ以下でもない。
私はそのメールを見て、
「やっぱり老舗だな」と苦笑した。
不思議な納得感があった。
■ オオサカ堂の印象まとめ
項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
価格 | ★★★★☆ | 標準的。やや高めだが安定。 |
発送速度 | ★★★☆☆ | 2〜3週間。遅め。 |
サポート | ★★☆☆☆ | 必要最低限。丁寧さはない。 |
梱包 | ★★★★☆ | 問題なし。安全性は高い。 |
信頼度 | ★★★★☆ | “老舗の安心感”はあるが、温度は低い。 |
― 印象の薄さこそが“らしさ”かもしれない
何も印象に残らない。
でも、特に問題もない。
それがオオサカ堂の本質だと思う。
「人間味」は薄いが、「不安」もない。
期待も裏切りもない、淡々とした取引。
ただ薬を買って、届いて、終わり。
そういう関係も、
長く続いてきた理由の一つなのかもしれない。
第6位:おくすりナビ ― わかりやすいけれど、印象は薄い
― 教科書のようなサイト
最後に使ったのが「おくすりナビ」だった。
名前の通り、ナビゲーション的な説明が分かりやすく、
初心者には良いと思った。
ただ、正直言って「無難」すぎた。
トップページにはカテゴリーが整然と並び、
一つ一つの説明が丁寧すぎて、
どこか“教科書を読んでいる”ような感覚になる。
― 何も悪くない、でも何も残らない
注文から発送まで、問題は何もなかった。
対応もスムーズ、梱包も清潔、届くのも早い。
けれど、記憶に残る場面が一つもない。
「普通に買えて、普通に届いた。」
それだけだった。
他のサイトで感じたような、
メールの温かさも、
手書きのメッセージもない。
ただ完璧に整った“マニュアルの世界”という印象。
■ おくすりナビの印象まとめ
項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
価格 | ★★★★☆ | 平均的。可もなく不可もなく。 |
発送速度 | ★★★★☆ | 早い。安心。 |
サポート | ★★★★☆ | 定型的だが丁寧。 |
梱包 | ★★★★★ | 清潔で信頼できる。 |
信頼度 | ★★★★☆ | “正しい”が、“心に残らない”。 |
― 「便利」は、記憶に残らない
便利すぎるものは、
人の記憶からすぐに消える。
不便さの中にこそ、物語がある。
おくすりナビは、
まさにその“物語のない完璧さ”を体現していた。
ミスは一つもない。
それでも、もう一度使いたいとは思わなかった。
まとめ ― “信頼”とは、届くことではなく「心が動くこと」
6つのサイトを使ってみて思ったのは、
「薬が届く」こと自体は、今や当たり前だということだ。
違いは、“その過程で何を感じたか”。
くすりエクスプレスでは、不安が安心に変わった。
ベストケンコーでは、トラブルが信頼に変わった。
ユニドラでは、安さの裏にある孤独を知った。
ぺっと薬では、人の温かさを感じた。
オオサカ堂では、時代の静けさを味わった。
おくすりナビでは、便利さの虚しさを知った。
― 最後に
薬を個人輸入するという行為は、
人によってはまだ抵抗があると思う。
けれど、実際に体験してみて分かったのは、
“怖さ”よりも、“自己管理の責任”だ。
届いた薬をどう使うか。
体調をどう見つめるか。
それを自分で判断する力があって初めて、
この仕組みは成り立つ。
だからこそ、私は今も思う。
信頼できるサイトは、「薬」を売っているのではなく、
「安心して決めるための時間」を売っているのだと。
この体験記を、これから個人輸入を考えている人に読んでもらえるなら、
その一歩を少しでも穏やかに踏み出してほしい。
そして、どんなサイトを使うにせよ、
“自分の感覚”を信じて選んでほしい。